オリジナルプルオーバーパーカー。

大昔に買ったヘインズ（アメリカ製）のパーカーを25年以上たった今も僕は愛用しています。袖のリブはボロボロ、そして生地は向こう側が透けて見えるくらい薄くなってしまっているのですが、それを今でも愛用しています。何故愛用しているのかは僕にもわかりません。「理由なく気に入っている」という言葉が最も近い表現なのかもしれません。オリジナル製品を作る時に、いつも生地の選定から入る事が多いのですが、今回はカタチから決めました。「何の特徴もないプルオーバーパーカー」というタイトルを決めてから生地の選定に入り、沢山出回っている杢グレーの生地は候補から外しました。

カラーによって、裏毛、起毛と様々な生地を一度に同じカタチで縫製して頂く方法でバリエーションを付けました。何の変哲もない無地のパーカーは国内の生地、国内の縫製で仕上げ、立ち上げ数週間のみ安価な価格設定をして販売致します。

先にご紹介しているENTRY SGのような縫製や素材に贅沢な仕様を用いるものもあれば、この製品のように無機質につくる製品もあります。どちらの製品にもそれぞれの良さがあって、それを価値として見て頂ける方に選んで頂ければと考えています。ENTRY SGが縫製で使っているフラットシーマのミシンは国内の工場にお願いすると縫製工賃も高く、吊り編み機で生産した素材などを使うと更に高くなります。今回のオリジナルパーカーは、あくまでも最初に書いたヘインズのパーカーのように無機質で何の工夫もないけれど気に入ってしまうような製品。もちろん、日本の工場を使う事や、国内の生地を使う事はこだわりではありますが、もはや日本製というのは専門店の少しランクの高い商品を扱う所では当たり前になりつつあります。

量販店から専門店、古着まで考えれば沢山の選択肢がありますがこの無機質な感じを僕は気に入っています。