ザンタージャパン 別注ダウン 2018秋冬

ザンター別注

今年、2018年の秋冬にご紹介を予定しているダウンジャケットは、60年間南極観測隊にダウンを供給し続けてきたザンタージャパンへの別注です。これから暑くなろうとしている時期ですが、10着だけの生産の為、近日ご予約を取らせて頂く予定です。

写真は先日上がってきたばかりのファーストサンプルですが、表身頃の素材はバックなどによく使われているコーデュラナイロンを使用。ファスナーはYKK OLD AMERICAN ZIPを使用。このファスナーは縫込み部分のテープが綿素材で昔の懐かしい雰囲気を持っているファスナーです。コーデュラナイロンは綿主体に作られた(綿70%の混紡率)素材をあえて使っています。ハイテクの撥水機能を備えた素材だとどうしてもトレンド風になるのでクラシックでアナログ的機能を備えた綿主体の素材を選びました。

ダウンは水鳥の胸の綿毛を使うのが一般的ですが、海外ブランドの多くはこの綿毛の洗浄を丁寧に行っていない場合が多く見られます。洗浄が甘い場合、動物のものですから後から臭ってくる場合も多くみられます。ザンターのポリシーとして丁寧な洗浄と自分達が生産する分しか水鳥を捕らないという事を主体としています。

皆さんご存知のように、大量であればあるほどコストを下げられるという事よりも、乱獲や製品のその後の品質に眼を向けている点が多く見られる為ザンターさんへの別注をお願いしました。またフェザー(綿毛に芯がついているもの)の混紡率を抑え20%の混紡率となっています。通常は70ダウン・30フェザーが多く、作業着用のダウンなどは60:40の比率が多く観られます。

ジャケットの縫い目と縫い目の間にダウンをぶち込んである訳ではなく、そのジャケットのパターンに合わせてダウンパックというパックが最初に作られます。このパックがあるおかげでジャケットの中で偏る事無く一定の分量と均一性が産まれるのですが、先ほど書いた臭いに関してはパックになっている事で洗おうがクリーニングに出そうが取れにくいものになっています。

そして国内メーカーのパターンは日本人の体系に合っているパターンを生み出す事が重要です。スタイリッシュなものよりも隙間が少なく風の流入も防げる事、そして自転車やバイクに乗る時に邪魔になってしまうフードの形状には細心の注意をし美しい形状が保てるように工夫しました。首前面に付属している風防も飾りではなく、実用性を踏まえた仕様になっています。ドットボタンの裏側には、強く引っ張った時にボタンが抜けてしまわないようにレザーの留めを付属させました。

このダウンの誇る熱量は800フィルパワー、通常は700が主流で時折海外ブランドの表記に900フィルパワーと記載されているものがあるそうですが、測定の仕方に違いがあるとの事です。ダウンの分量は380グラム。この熱量を支える根源として多くの良質ダウンが入っています。

*写真のファーストサンプルでは付属を省いておりますので、本生産では細かい部分の付属が組み合わされます*

下の画像は別注時の縫製仕様書。

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ストーリー

昨年、長年着ていた僕のダウンジャケット(アメリカのウォールズ製)が破れてしまい中から大量に出てきてしまった事が始まりです。何もノースフェイスだとかカナダグースだとか沢山のブランドがあるのでそこで買えば済む事だったのですが、真っ直ぐではない僕の性格から、「そうか、じゃあ作ろう」という事になりました。とても単純な始まりです。

ウォールズのワークダウンは17~8年前に2万位で買ったものですがとても気に入っていました。表が綿素材でザンターのように大きな熱量を発する高価なものではありません。無骨なボックス型のシルエットで、いかにもそのヘンテコともいえるポンコツ感が自分自身を表現しているかのようでした。

今回の別注ジャケットを考えるにあたり、最初に描いたのは絶対に「表身頃は綿素材」という事から始まった訳です。せっかくコーデュラを使うなら深く考えず一番出回っているナイロン素材にすればコストダウンだってできたと思うのですが、その綿混紡素材への執着が今回のジャケットを作りました。

とはいえ、別注先の発注ミニマムやらなにやらを考えると中々うまくいかないのは当然の事。生地を最低一反分は使いきらないと生産できません。一反で約20着作れるのですが、今回は10着をお願いし、残りの10着はザンターさんから僕らのオリジナルとしての付属や化粧をしない写真のファーストサンプルのままが何処かのお店に卸される事になります。

「洋服は生き方の反映だ」と19年前に言って始めたのがanalogです。ですから僕が着る以上、豪華でビジネス臭の漂う仕様にしてなるものかというAntiな考え方から産まれた別注商品ですから、沢山の人に受け入れられる訳がありません。

トレンドだとか流行だとかそんな事はどうでもいいんです。僕の創る世界観や生き方、そんなものを少しでも受け入れて下さる方が喜ぶものを作って販売する事がやりたい事なんですから。雑誌から飛び出してきたようなモノよりも、もっと違う価値観を持ったものを僕はまだ世に出せていませんけれども、そうやってやっていれば一つくらい何かが何らかの形で産まれると信じています。

もしかしたら、このダウンはファッションというよりも道具に近いのかもしれません。そんなスペックとストーリーを備え、世の中の見方や考えが一般の方と違う切り口を持っている方々の為に考えたジャケットです。

 

*ファーストサンプルはお店に着て頂ければ試着など可能です。サンプルサイズはLサイズになります。

*付属パーツは全て手作りをして完成となりますが、出来上がるのは来月の予定です。派手なものではありません。

*後日、オンラインストアーでもご予約販売を行います。皆様のお手元に商品が届くのは2018年12月頃を予定しています。

*ご予約を承るタイミングは、メールマガジン(無料)にてお知らせさせて頂きますのでご希望の方がいらしたらこちらより登録をしてお待ち下さい>>

 

 

記事執筆:加藤正親

 

 

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